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地震発生時の通信事情に関して

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2000/08/19 牛joe@横浜市南区様より

 阪神大震災の時でも電話局そのものが損壊したことはありませんでした。
 しかし線路(通信ケーブルなども「線路」と呼びます)は切断したり、火災で焼けたりし断線しました。局内の交換機はほとんどすべて稼動していたそうです。問題は地域交換機と交換機の遠隔架装置やISDN回線です。

 ほとんどの第一種電気通信事業者の電話局設備には、中継交換機と地域交換機とがあります。中継交換機はその名の通り、エリア間交換を行うための装置です。地域交換機はエリア内の交換を行うための装置です。
 例えば、03−123−4567 という電話番号の場合、「03」までへは中継交換機が接続し、その後の「123」局へ中継します。その後「123」局内の「4567」番へ通話路が形成され通信が確保されるようになります。
 昔の電電公社では「市外電話局」という名称の局が存在していました。
 こうした中継網はそのほとんどが光ファイバーで接続されており、銅線は臨時利用や短距離隣接局間接続に利用されています。光ファイバーは銅線に比べ粘性がありませんから、衝撃やせん断によって切断されやすいと言えます。
 最近では地域交換機「D70改」の架の一部を電話局の外部に設置するシステムがかなり多く稼動しています。この装置は「D70−RT」=「FALCON」と呼ばれる装置で、新築のビル内や住宅地の隅のトレーラー内部に設置されています。D70本体とFALCOMは光ファイバーで接続されおり、ビルや地域までは光ファイバー、FALCONから通常の電気信号に変換されて各企業や家庭まで繋がれています。このFALCONにはバッテリーが搭載されています。
 通常は商用電源で稼動しており、停電時にはバッテリーに切り替わる事になっており、FALCON本体に異常が発生すると各地区のラインマンセンターへ警報が発報されます。即ち、バッテリーが切れたらFALCONは停止します。
 FALCONには一般電話回線・ISDN回線・公衆回線の各パッケージが収容されており、電話回線の種類によって地震に強いとは言えません。

 最近TVCMで放送されている「家庭まで光ファイバー:FTTH」というシステムもFALCONと同様です。三鷹等の一部の地域では光ファイバーが直接家庭まで敷設されていて、OMU(光メディアユニット)を通して電話等の電気信号に変換されている場合もありますが、多くの場合小型のFALCONが電柱に「ちょう架」(吊るされている状態です)されているケーブルにぶら下がっている状態で設置されています。このシステムはπ(パイ)システムと呼ばれていますが、やはり商用100V電源を近くの電柱から受給してもらっています。小型のバッテリーが入っていますが、稼働率によってはすぐに電池は無くなることでしょう。しかし、実際の工事予定の多くが凍結状態で進んでいないようなので、このシステムのために損害を蒙ることは少ないと思います。

 もっとも損害が発生しそうなのが、ISDN回線です。当然ですがISDN回線を利用するためにはTAかダイアルアップルーターが必用です。しごく当然ですが、100V電源か乾電池が必用です。ISDN電話機なら直接接続できますが、持っている人はほとんどいないでしょう。
 もし電話回線が無事であっても電源が確保されなければ、ISDN回線は利用できません。NTTも「停電時には外部電源がなければ利用できません」とは説明してませんよね。(これって明かに告知義務違反ですが)
 ISDN回線の利用不可によって発生するのがPHSです。PHSの固定局アンテナはISDN回線のBchを利用していますから、ISDN回線が利用できなくなると、当然PHSも止まります。
 それでは携帯電話はどうでしょう?携帯電話のアンテナは電話局から光ファイバーで接続されています。アンテナそのものはバッテリーも搭載していますが、バッテリーが無くなるか、光ファイバーが切断されれば通話不能になります。
 同時に輻輳が発生します。当然ですが大規模災害時には電話が殺到しますから、輻輳が発生し設備そのものが正常であっても通話しずらくなります。一応輻輳制御を行うことになっていますが、その順位は「重要回線レベル」で規定されています。

 電話局内の設備は「最大1000ガルに耐えうる」と規定されていますし、8時間稼働可能電池と非常発電設備を持っていますから、電池の容量と重油が無くならない限り稼働は維持できます。最悪の場合首都圏では「非常電話局設備」が確か3箇所用意されています。
 この設備はいくつかのコンテナーをつなぎ合わせると5000回線程度の電話局となるもので、私が知っている限りでは東京都足立区竹の塚電話局の裏に待機しており、非常時にはヘリコプターで移動して設置されます。
 中継回線にはマイクロウェーブか、衛星を利用します。災害復旧に必用なケーブルなどは各地区で備蓄されていますが、大規模な線路破壊に関しては対応することは不可能でしょう。通信ケーブルは受注生産であり、通常オーダーで2週間〜20日必用です。(工場が稼働できればの話しですが)また通常の電線と違い、「ダム構造」という通信ケーブル内の乾燥圧縮空気をせき止める構造になっており、ダム作りは未だ大半が手作業です。

 こうして考えるとアナログ回線でインターネットを利用することが最も災害に強い通信手段といえます。ただしISPのAPも場所によっては普通のビル(床耐圧300kg/1センチ平方メートル)程度では電源設備も含め不安です。最も有名なのはNIFTYのバックボーンである館林にあるフェニックスのマシンルームで、建物が免震で、各フロアの床もショックアブソーバーが設置されています。
 電力系の通信設備ビルでは同様のものを以前仙台の泉区で見ています。通信設備ではありませんが、駿河銀行事務センター(三島)もこうした構造となっています。

 実際に大規模な地震が発生した場合を想定すると、通信回線が確保されるとしてモデムが無いとインターネットへの接続は不可能となるでしょう。インターネットはルーターがパケットを経由して相手先にデータを伝送するシステムですから、そうした意味では輻輳に強いシステムです。もともと核攻撃に対応するための通信システムとしての生い立ちがありますから、当然と言えるかもしれません。

 もし大規模災害が発生したとしたら、是非インターネットを使って「地震予知」以外に有意義な活動をしたいものです。

Update 2000/08/20